前立腺肥大症の治療法のひとつで、肥大した部分に水蒸気を注入し、水蒸気の熱を利用して前立腺を小さくさせる身体への負担が少ない治療法です。
従来は手術時間が長い事や出血のリスクもあるため薬物療法を選ばれる方が多いのが現状でした。WAVE治療は、前立腺内に103℃の水蒸気を9秒間送り込み、前立腺組織を約70℃まで上昇させます。この時に発せられる熱エネルギーが肥大組織に影響し、細胞を壊します。壊死した細胞が1~3か月をかけて自然に体内に吸収されることで前立腺肥大症の症状を和らげます。手術時間は10分未満と出血のリスクも少なく、これまで合併症等で手術を断念せざるを得なかった患者様も適応できる可能性が十分にあります。治療効果は、個人差がありますが術後数週間~1か月後には、排尿状態の改善が期待できます。
多くみられる合併症
※抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)の服用をされている方も安心です。
①受診(どの医師でもかまいません)
前立腺肥大症の検査を行い、WAVE治療が適応であれば入院・治療日を決定します。入院は1泊2日です。手術は入院当日に行います。
②入院
③麻酔
麻酔は全身麻酔で行います。
④治療個所の特定
WAVE治療専用機器を用いて、水蒸気を注入する治療個所を特定します。
⑤水蒸気の注入
治療個所の特定後、水蒸気を注入します。患者様によって、水蒸気を注入する箇所や回数は異なります。
⑥尿道カテーテルを留置
術後早期は前立腺が一時的に浮腫(腫れ)を起こすため、自排尿が困難となります。そのため、一時的にカテーテルからの排尿となります。元々自排尿がある方は術後1週間程度、元々カテーテル管理の方は1か月後にカテーテルを抜去し、自排尿に戻す流れとなります。手術は麻酔時間を含めて30分~40分程度で終了します。術後は、疼痛(痛みの)コントロール・尿路感染症による発熱・血尿の経過観察を行い、退院後のカテーテル管理の指導をします。
⑦退院
⑧受診
術後早期は前立腺がむくみを起こし、術前よりも尿の出が悪いことがあります。術後1週間から2か月の間に、徐々に前立腺のむくみが取れ、組織が壊死していく事で尿道が広がり、治療の効果が現れるようになります。経過を診ながら、術後の内服薬の調整等を行います。
Q.新しい治療法なのですか
日本では行政の承認を2021年に取得しています。セコメディック病院では2024年4月から行っています。また、欧米では10年近い実績があり、治療の効果が保たれている事が示されている治療法です。
Q.熱くないのですか?
麻酔をしているので感じません。
Q.効果はどのくらい持続しますか
前立腺の大きさにもよりますが、現時点では切除術と変わらないと言われています。
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