セコメディック病院 腎臓内科部長 新貝早百合医師
セコメディック病院の血液浄化センターの診療について、またご自身の専門である腎臓や腎代替療法ついて、日本腎臓学会専門医・認定指導医、日本透析医学会透析専門医・指導医である腎臓内科部長 新貝早百合医師にお話を伺いました。
生活習慣病や高齢化により慢性腎臓病(CKD)が増えています。
特に糖尿病や高血圧の状態が長期間続くと腎臓の糸球体(毛糸玉のようなろ過器)が障害を受けてたんぱく尿が出るようになり、腎臓のろ過機能が低下します。
そして徐々に体の中に不必要な水分や老廃物が増えて、進行すれば尿毒症という状態になり、だるさ、食欲不振、貧血など様々な症状が出ます。
また、水分や血圧の調節もできなくなり、むくみが現れたりさらに血圧が高くなったりすることもあります。
しかしこれらの症状はすでに末期の状態です。
さらに、腎臓病は心筋梗塞や脳卒中などの血管疾患の原因とも関わっています。
腎臓病が重症化して腎不全になると、皆さんがよく聞く血液透析や腎臓移植が必要になります。
腎臓病は見えない病気であり、早期に発見できれば悪化を予防できる可能性があります。
腎臓は、体の中で使われた栄養分・水・筋肉や脂肪などの老廃物を処理します。へその高さくらいのどちらかというと背中に近い位置に左右2つあります。
中には細い血管が顕微鏡でしか見えないほど小さなろ過器があります。糸球体といい、1つの腎臓に100万個位あると言われています。それにより、体内で不要となった水分や物質をより分けて、尿管から膀胱を経由して体の外に排泄しています。
検尿でたんぱく尿が出ているか調べたり、血液検査の「クレアチニン値」を調べGFR(糸球体ろ過量)を測ることができます。値が低いと腎臓の働きが低下していることが分かります。
慢性腎臓病は初期にはほとんど自覚症状がないのが特徴のひとつです。そこで重要となってくるのが健康診断や定期的な検査です。「面倒だから」といって受診しないでいると若い方でも気づかないうちに進行してしまいます。
見えない病気だからこそ気になることがあればお気軽にご相談下さい。