過度な安静はマイナス効果?

TEL
Menu Close
キービジュアル

健康コラム

過度な安静はマイナス効果?

  • 健康コラム

セコメディック病院 リハビリテーション科
部長 渡邊 健司(わたなべ・けんじ)

病気やけがなどにより長期間安静にしていると活動性が低下し、身体や精神に様々な影響を及ぼします。それを「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」といいます。安静が過ぎると、筋力ばかりでなく、内臓にも色々と悪いことがおきてきます。なかなか怖いものです。

廃用症候群

どんな症状が出ますか?

下記のような様々な症状が発生します。

筋骨格系 寝込んで身体を動かさないと、1週間で1割くらいの筋力が低下します。筋力の低下だけでなく、関節が曲がりにくくなったり、骨粗しょう症で骨がもろくなったりします。腰痛も起こりやすいです。1か月くらい寝ていると筋力は半減します。姿勢のバランスを保つ力や、歩く能力も低下しやすいです。
循環器系 心臓の働きが低下するので、すぐ息が切れます。立ち上がるとふらついたり、めまいがします。太い静脈の中で血液が塊になったりします。
呼吸器系 胸郭の動きが悪くなると、大きな深呼吸ができなくなったり、食べ物でむせて肺炎を起こしやすくなったりします。
消化器系 胃酸が逆流する食道炎も起こしやすくなります。便秘も体を動かさないでいると悪化します。
泌尿器系 細菌が入りやすくなって膀胱炎になったり、尿管結石ができやすくなったりします。
皮膚系 ずっと寝ているせいで、床ずれがお尻などにできることがあります。
精神経系 心にも影響がでます。引きこもっていると気持ちが落ち込んでしまい、やる気がなくなってうつ病になったり、記憶力が落ちたり、考えが混乱して日常の生活ができなくなることがあります。

廃用症候群を防ぐには?

まずはきちんとした生活を取り戻すことです。夜は休み、朝は起きる。食事は座って食べ、歯を磨き、顔を洗う。着替えて外出し、階段を上り下りし、バスや電車に乗る。自分のできることを自分ですることが大事です。

 

運動の機会は逃さず、散歩のような歩行も重要です。おすすめするのは起立着座練習です。座った状態から立ち上がる。そして座る。普通に生活で必要な動作ですが、これを10回繰り返せば普通に運動といえます。1日に何度も起立着座練習を繰り返すようにしましょう。

 

起立直座練習

廃用症候群を防ぐには?

要介護の方はどうすればいいですか?

運動というよりは、リハビリの方が当てはまってしまうかもしれません。べッドから起きられない。座ってご飯が食べられない。そうした要介護の状態の方にも廃用による部分は通所サービスや訪問リハビリによる運動で能力を取り戻すことができるかもしれません。


頭も体も使わずにいると生活するための機能が弱ってしまいます。ここはひとつスポーツマンにでもなった気持ちで生活を立て直しましょう。


健康コラム一覧へ

サイトマップ
ページトップへ
看護部サイト 採用エントリー

患者さま・医療関係者のみなさまへ
患者さまがよくご覧になられるページをご案内いたします。

よくご覧になられるページ