セコメディック病院
皮膚・排泄ケア認定看護師 小俣佳子
スキンーテアって何?
知らないうちに皮膚が「内出血・紫班がある」「裂傷していた」、「表皮剥離していた」という経験はありませんか。
スキンーテア(skin Tear)とは
高齢者の四肢に発生する外傷性創傷、「摩擦・ずれで皮膚が裂けたり、はがれたりする真皮深層までの皮膚損傷(部分損傷)のこと」です。
これは普段の何気ない日々の行動で発生することもあります。あらゆる年代でも起こりますが、皮膚が脆弱となりバリア機能が低下している高齢者にとても多く発生します。
どこに発生するの?
主として四肢(手足)に多く発生します。
スキンーテア発生リスク要因は?
- 低栄養
- 皮膚が乾燥している
- 皮膚に紫斑が多数ある
- 浮腫がある
- 水疱がある
- 長期間ステロイド・抗凝固剤の使用
- 抗がん剤の使用
- 放射線治療をしたことがある
- 透析している
- 屋外で作業することが多かった(農作業など)
スキンーテア発生の具体例は?
- 手足がベッド柵に擦れて皮膚が剥けた
- 医療用テープをはがす際に一緒に皮膚が剥がれた
- 車いすやベッドなどに移動時フレーム等に擦れてやぶれた
- リハビリ時に身体を支持していたら皮膚が裂けた
- 体位変換時に身体を支持したら皮膚が裂けた
- 更衣時に衣服が擦れて皮膚が裂けた
- 転倒、ベッドから転落時に皮膚が裂けた 等が挙げられます。
スキンーテアの予防策
予防の基本は皮膚の状態を整えて摩擦やズレの発生を予防することです。
スキンケア(皮膚の清潔の保持・保湿)を行い状況に応じて四肢の皮膚を露出させないように長袖・ズボンの着用の他アームカバーやレッグフォーマー等で保護する事です。
また周囲の環境を整備する事も重要です。ぶつけても大きな衝撃にならないようにベッド柵にカバーや家具の角などに衝撃材をつけるようにしましょう。
入浴時や清拭時は皮膚を広範囲に露出させますので注意が必要です。泡を使って優しく体を洗うこと(ゴシゴシこすらない)、押さえるように優しく拭き取るようにします。
そして皮膚の保湿も重要です。ローションタイプ等の伸びがよい保湿剤を1日2回以上、
皮溝に沿って押さえるように優しく塗りましょう。手足を持ち上げる時は握らないでそっと下から支えるように持ちましょう。
皮膚の観察と毎日のケア
- 手足を中心に傷がないか、増えていないか確認しましょう。
- 皮膚が乾燥しないように1日2回は保湿剤を塗布しましょう。
- 保湿剤を塗布する際は優しく押さえながら皮膚に浸透するように塗布しましょう。
しかし予防対策しても発生してしまう事があります。なぜ発生してしまったのか考え予防対策をさらに検討していく事が重要です。