QIプロジェクト

はじめに

セコメディック病院では、当院で行われている診療の質を計測し改善するために、2018年9月より日本病院会のQIプロジェクトに参加いたしました。2018年度の集計結果についてQIプロジェクト事務局よりフィードバックを受けましたので、ここにデータを公開いたします。

QIとは

QIはQuality Indicatorの略称で、「医療の質」を表す指標とされています。「医療の質」という言葉も様々な意味を含みますが、「診療ガイドラインに則った標準医療が行われている度合い」というのが、現在、使われている解釈です。したがって、QIの目的は、「標準医療が行われている度合いを測定し、その指標に基づいて医療の質を改善すること」となります。 ・ただ、指標に影響を与える要因は下表の様に多岐にわたり、それらの影響を排除して純粋に医療の質を表す数値に変換することは、現時点では不可能です。

影響を与える要因の例
疾患の違い 種類・重症度など
患者の属性の違い 年齢・性別・職業・収入など
病院の立地の違い 場所の特性、他の医療機関との位置関係など
病院の性格の違い 他の医療施設との連携状態など

したがって、各施設において時系列で改善度合いを確認することが重要であり、当院でも自院の時系列変化を中心に、継続的に情報を公開していく予定です。また、当院が置かれている外部環境・内部環境に着目し、当院独自の指標についても検討を開始しております。

日本病院会QIプロジェクトとは

当院が参加した日本病院会のQIプロジェクトは、2010年に厚生労働省による支援を受けて実施された「医療の質の評価・公表等推進事業」が嚆矢となります。この事業には、2018年度までに済生会、日本赤十字社、国立病院機構を含む9団体が参加しており、参加した延べ病院数は1,000病院を超えます。そして、現在も続いているこれら9団体の事業の中で、355施設と最も参加施設数が多いのが、日本病院会QIプロジェクトです。

QIに関連した医療政策の動向

上記「医療の質の評価・公表等推進事業」以外にも、2016~2018年度にかけて厚生労働省科学研究として「医療の質の評価・公表と医療情報提供の推進に関する研究」が実施され、共通QIセットとして23種類36指標が設定されています。また、2019年度からは、上記事業に参加した9団体からなる「医療の質向上のための協議会」が設置され、臨床指標の標準化とノウハウの共有が図られる見込みです。

2018年度日本病院会QI指標一覧

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 
No. 指標 種類(※1) 全国中央値 当院
1-a 患者満⾜度(外来患者) 満⾜Outcome42.7%10.6%
1-b 患者満⾜度(外来患者) 満⾜またはやや満⾜Outcome83.7%58.7%
2-a 患者満⾜度(⼊院患者) 満⾜Outcome59.4%20.8%
2-b 患者満⾜度(⼊院患者) 満⾜またはやや満⾜Outcome91.5%80.5%
3 死亡退院患者率Outcome3.3%4.9%
4-a ⼊院患者の転倒・転落発⽣率Outcome2.56‰3.00‰
4-b ⼊院患者の転倒・転落による損傷発⽣率
(損傷レベル2以上)
Outcome0.51‰0.36‰
4-c ⼊院患者の転倒・転落による損傷発⽣率
(損傷レベル4以上)
Outcome0.04‰0.10‰
5 褥瘡発⽣率Outcome0.06%0.16%
6 紹介率Process66.2%25.0%
7 逆紹介率Process72.7%22.8%
8 尿道留置カテーテル使⽤率Process14.0%13.4%
9 症候性尿路感染症発⽣率Outcome1.32.1
10 救急車・ホットラインの応需率Process88.5%65.4%
11 特定術式における⼿術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率Process98.0%94.0%
12 特定術式における術後24時間(⼼臓⼿術は48時間)以内の予防的抗菌薬投与停⽌率Process37.1%24.2%
13 特定術式における適切な予防的抗菌薬選択率Process96.3%59.0%
14-a 糖尿病患者の⾎糖コントロール HbA1c(NGSP)<7.0%Outcome50.3%57.8%
14-b 糖尿病患者の⾎糖コントロール HbA1c(NGSP)<8.0%Outcome81.0%85.1%
15 退院後6週間以内の救急医療⼊院率Outcome2.33%5.18%
16 急性⼼筋梗塞患者における⼊院時早期アスピリン投与割合Process92.9%93.8%
17-a 急性⼼筋梗塞患者における退院時アスピリン投与割合Process86.3%100.0%
17-b 急性⼼筋梗塞患者における退院時抗⾎⼩板薬投与割合Process94.6%100.0%
18 急性⼼筋梗塞患者における退院時βブロッカー投与割合Process67.2%40.0%
19 急性⼼筋梗塞患者における退院時スタチン投与割合Process87.2%86.7%
20 急性⼼筋梗塞患者における退院時ACE阻害剤もしくはアンギオテンシンⅡ受容体阻害剤投与割合Process70.9%26.7%
21 急性⼼筋梗塞患者におけるACE阻害剤もしくはアンギオテンシンⅡ受容体阻害剤の投与割合Process73.5%25.0%
22 急性⼼筋梗塞患者の病院到着後90分以内のPCI実施割合Process64.3%25.0%
23 脳卒中患者のうち⼊院2⽇⽬までに抗⾎⼩板療法もしくは抗凝固療法を受けた患者の割合Process66.5%29.6%
24 脳卒中患者のうち退院時抗⾎⼩板薬処⽅割合Process75.0%83.6%
25 脳卒中患者の退院時スタチン処⽅割合Process31.7%8.7%
26 ⼼房細動を伴う脳卒中患者への退院時抗凝固薬処⽅割合Process75.0%87.5%
27 脳梗塞における⼊院後早期リハビリ実施患者割合Process79.5%87.9%
28 喘息⼊院患者のうち吸⼊ステロイドを⼊院中に処⽅された割合Process68.8%78.6%
29 ⼊院中にステロイドの経⼝・静注処⽅された⼩児喘息患者の割合Process93.7%-
30 統合指標(Composite Measures) 【⼿術】74.4%59.7%
31 統合指標(Composite Measures) 【虚⾎性⼼疾患】79.0%63.0%
32 統合指標(Composite Measures) 【脳卒中】64.8%52.2%
33-a 1か⽉間・100床当たりのインシデント・アクシデント発⽣件数Outcome39.2件160.7件
33-b 全報告中医師による報告の占める割合Process2.5%1.0%
34 職員におけるインフルエンザワクチン予防接種率Process94.9%92.1%
35 中⼼静脈カテーテル挿⼊に伴う気胸発⽣率Outcome0.00%0.00%
36 誤嚥性肺炎に対する喉頭ファイバースコピー⼜は嚥下造影検査実施率Process2.4%0.47%
37-a 術後48時間以内の予防的抗菌薬投与停⽌率
(バイパス⼿術)
Process0.0%-
37-b 術後48時間以内の予防的抗菌薬投与停⽌率
(他の⼼臓⼿術)
Process4.6%-
37-c 術後24時間以内の予防的抗菌薬投与停⽌率
(股関節置換術)
Process0.0%7.5%
37-d 術後24時間以内の予防的抗菌薬投与停⽌率
(膝関節置換術)
Process0.0%0.0%
37-e 術後24時間以内の予防的抗菌薬投与停⽌率
(⾎管⼿術)
Process58.2%27.3%
37-f 術後24時間以内の予防的抗菌薬投与停⽌率
(⼤腸⼿術)
Process3.5%26.1%
37-g 術後24時間以内の予防的抗菌薬投与停⽌率
(⼦宮全摘除術)
Process16.9%-
38-a 薬剤管理指導実施率Process69.6%93.6%
38-b 安全管理が必要な医薬品に対する服薬指導実施率Process77.3%95.5%
39 糖尿病・慢性腎臓病患者への栄養管理実施率Process67.4%58.7%
40-a ⼿術ありの患者の肺⾎栓塞栓症の予防対策の実施率Process94.7%97.0%
40-b ⼿術ありの患者の肺⾎栓塞栓症の発⽣率Outcome0.09%0.0%
41-a 広域抗菌薬使⽤時の⾎液培養実施率Process36.4%23.4%
41-b ⾎液培養実施時の2セット実施率Process68.1%87.5%
42-a 脳卒中患者に対する地域連携パスの使⽤率Process3.2%0.0%
42-b ⼤腿⾻頸部⾻折患者に対する地域連携パスの使⽤率Process3.2%0.0%

※1 構造(Structure)に関する問題が少ない我が国の場合、医療サービスの質を向上させるための活動は、Process(過程)アプローチとOutcome(結果)アプローチとに大別されます。Processアプローチは、一定の方法論に基づいて最適な治療方法を提示・提供するもので、EBM(evidence-based medicine、根拠に基づく医療)やクリニカルパスがこれに該当します。Outcomeアプローチは、方法の如何を問わず治療結果の保障を図るものです。