ご挨拶

当科では、口腔インプラント治療を専門的に行っています。病院の持つ機能、たとえば、 CT 各種検査、手術室、病棟などを生かして「安全で安心な治療」を心がけています。ただし、インプラント治療はすべて自費診療になります。

口腔インプラント(人工歯根)治療

口腔インプラントとは?

口腔インプラントのアイデアはエジプト文明からありました。ミイラの顎骨に人工歯根らしきものが 入っていたのです。失った歯を何とか取り戻したいという願望は今も昔も変わらないようです。 現代においても様々な材料、形態のものが試されましたが、歯を失った部位の顎骨に人工物を 挿入し、その上に歯を作るというコンセプトは同じです。しかし、多くのものは異物反応といって、 排出されたり、 線維組織で被包されたりして、歯としての機能を長期にわたって維持することはできませんでした。 そのためインプラントの歴史は失敗の歴史といっても過言ではありません。 いまだにインプラントは危険な治療であると言っている研究者、歯科医師がいることも確かです。 しかし、1965年よりスウェーデンの解剖学者であるブローネマルク教授が、チタンは骨に結合し、 それは外力が加わっても長期にわたり安定することを発見して以来、人工歯根(デンタルインプラント) の歴史は大きく変わりました。様々な動物実験、力学、工学的な実験、臨床実験を経て骨と結合する インプラント ( 骨結合型インプラント ) の高い予知性が証明され、今日では成功率の低い危険な 治療から成功率が高い安全な治療へと変わっています。世界でも骨結合型インプラントは歯科治療の中で 重要な位置を占めるようになっています。以前は動揺している歯であっても何とか1本でも多く自分の 歯を残そうとしていましたが、骨結合インプラントの登場で、動揺していて機能しない歯であれば抜歯 してインプラントを植立したほうが良く咬めるし、残りの歯にも負担が少なくなり全体では予後がいい とまで考えられるようになっています。

口腔インプラントの構造

口腔インプラントは様々な形態のものがあり、一概には言えませんが、多くが3段階の構造になっています。 骨の中に埋入され、骨と結合する部分をフィクスチャーといいます。多くはねじの形態をしています。 この部分が最も大切な部分で、建築に例えれば基礎の部分に相当します。この部分が骨としっかり結合しないと この先の治療はすべて失敗します。フィクスチャーにはアバットメントといわれるねじが結合します。 これは、歯肉を貫通するもので、これをつけて初めてインプラントがそこにあるということがお口の中で わかります。アバットメントに結合する部分が上部構造といい、いわゆる歯に相当する部分です。 これは食物を咬む部分であり、外から見える部分なので、歯に近い形態や色をしています。 セラミック製やプラスチック製、その両方の特徴を備えたハイブリッドタイプ、金属製などがあります。 それぞれ一長一短なので、その特徴に合ったものを選びます。

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インプラント治療はどのような場合に行うのでしょうか?

もちろん歯がある部位にはできません。通常、両側に歯がある場合の歯牙欠損は両隣の歯を削ってブリッジをかけます。欠損歯が多い場合や、両側に歯が無い場合はブリッジがかけられないので、入れ歯(義歯)を入れることになります。ブリッジは元の歯とかなり近い形態が復元でき、取り外しをしなくて良いことが利点ですが、支える歯をかなり削らなくてはならず、支える歯に対する負担も大きいためそれらの寿命を短くしてしまいます。また、義歯は顎堤粘膜で力を支えるため、残存歯への負担は少ないですが、取り外しをしなくてはならないことと、欠損歯が多くなればなるほど異物感も強くなり、食べ物をかむことが難しくなります.インプラント治療は顎骨に直接ねじを埋め込み、その上に歯を再現するため、両側に歯があろうと無かろうと、欠損歯が何本あろうと可能です。つまり、欠損歯が1本から上下まったく歯が無い方まで対象となります。また、残っている歯とは独立しているため、残存歯の寿命を縮めないどころか、残存歯の負担を軽減するためむしろ、歯の寿命を延ばすと考えられています。 歯を失ってしまったが、周りの歯を傷つけたくないという方、入れ歯をはめていられない方、入れ歯を何度も作ったがなかなか合わない方、入れ歯ではものがおいしくないという方はインプラント治療に適していると思われます。ただ、手術が必要であること、保険がきかないことなどの欠点はあります。

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どのような手術をするのでしょうか?

インプラントは直径約4 mm の純チタン製ねじです。長さは 7 ~ 15mm ほどで 顎骨の骨量によって選びます。このねじ(フィクスチャー)を手術で顎骨内に植立します。 手術は局所麻酔で可能ですが、植立本数が多い場合や、恐怖心が非常に強い場合は全身麻酔をお勧めしています。 手術は麻酔を行った後、歯肉を切開し、顎骨に決められたドリルで穴をあけてフィクスチャーを埋入します。 歯肉を縫合して手術は終了です。植立状況によって1回で手術が終わる1回法ともう一度手術を要する2回法があります。 2回法の場合は3~6ヶ月間骨とインプラントが結合する期間を経た後、局所麻酔をして、歯肉を切開し、前回植立した フィクスチャーの上にアバットメントと呼ばれるねじを連結する簡単な手術をします。これは、一回目の手術と異なり、 骨を削ったりはしません.後は歯肉を縫合して終わりです。

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手術は怖くないでしょうか?

術前のレントゲン等による診断を正しく行えば、手術自体はそれほど危険な手術ではありません。 局所麻酔が効いていれば術中の痛みもありません。ただ、顎骨にドリルで穴をあける時、振動が頭に 響くため不快感はあります。歯科治療が怖い方や、嘔吐反射の強い方は、しばしば困難なことがあるので、 当科では麻酔科専門医による静脈内鎮静法や全身麻酔を積極的に取り入れて手術をしています。 静脈内鎮静法は、点滴をとって、そこに鎮静剤を入れることによって、眠くなるため通常眠っている間に 手術をしますから、術中のことはほとんど覚えていません。ただ、眠っているだけで徐痛は局所麻酔で 行うため、痛みがあれば目が覚めます。それに対して全身麻酔は完全に意識を消失させるので、どのような 痛みがあろうと、時間がかかろうとまったく覚えていませんし、術中に目が覚めることもありません。 基本的には手術は局所麻酔で可能なので、後は個々の手術に対する恐怖感によって、静脈内鎮静法を併用したり、 場合によっては全身麻酔を選択することもできます。手術は外科や整形外科が手術を行う手術室で行うため、 清潔な環境で行います。

「骨が無いからインプラントは無理」と他院で言われた。

確かに骨の無いところにはインプラントを植立できません。長年義歯を使用していたり、 歯が抜けて久しいと顎堤の骨(歯槽骨)は減ってゆきます。また、歯が存在しても、 歯周病の歯を放置しておくと骨が吸収してゆきます。その場合はインプラントを植立 できる骨がレントゲン上で無いことが多いです。しかし、 CT で診断すると場合によっては 方向を変えれば植立可能なことがあります。それでも骨が無い場合は、当科では骨移植を 行っています。様々な骨移植材がありますが、現在日本で認可されていて安全かつ骨造成能が 高いものは無いと思われるので、当科では自分の骨を採取して移植する自家骨移植を行っています。 骨移植を併用することによって骨が無いところにインプラントを植立すること が可能になります。

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    そのままではインプラントの植立が困難なため、下顎骨より骨移植を行った。
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    移植骨の治癒期間後インプラントを 植立して、上部構造を装着した。
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    長期による義歯使用のため高度に吸収した上顎の顎堤
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    腰の骨を一部採取して、上顎洞底、鼻腔底、上顎前歯部へ移植した。
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    治癒期間を経てインプラントを10本植立し、上部構造を装着した。
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    上部構造はネジでインプラントに装着されているため、入れ歯のように外れることはない。

当科のインプラント治療の流れ

1.初 診
問診、レントゲン写真、口腔内診査、インプラント治療に関する説明をします。
2.前処理
咬み合わせを修正したり、抜歯をしたり、場合によっては骨移植をおこないます。
3.CT撮影
CTを撮影し、そのデータを用いてコンピューターによる植立シュミレーションを行います。
4.インプラント一次手術
フィクスチャーを植立します。フィクスチャーが骨と結合するために2~6ヶ月待ちます。しかし場合によっては待つことなく歯を作る場合もあります。
5.インプラント二次手術
フィクスチャーの上にアバットメントを装着します。一回法の手術ではこの手術は必要ありません。
6.上部構造作製
通常の歯科治療と同様に、型を採ったり、咬み合わせを採ってインプラント上に歯を作ってゆきます。
7.上部構造装着
アバットメントの上に人工歯を装着します。仮のものを装着することもあります。装着には、ネジ止めタイプとセメント合着するタイプがあります。
8.メインテナンス
上部構造を装着して治療が終わりではありません。そのまま管理をしなければ、インプラント周囲の骨が吸収して動揺したり、ねじが緩んでインプラント自体が壊れたりします。車にも車検があるようにインプラントも長持ちするためには定期的なメインテナンスが必要です。

診療実績

内  容 2011年度 2012年度 2013年度
インプラント 28件 20件 23件

【関連リンク】 歯科口腔外科はこちら

医師紹介

  • 澤井 俊宏(さわい としひろ)

    役職
    歯科口腔外科部長
    専門
    口腔外科全般、インプラント
    資格
    日本口腔外科学会認定